第10章 逃げ込んだ先に。
アジトに入っても、真っ暗で誰かがいる気配はしなかった。
「まあ、遅いもんね・・・」
出来るだけ音をたてないように行動する。
「もうみんな寝ちゃったっぽいね」
『そうなの?人間は寝なきゃいけないから面倒だね』
「そんなことないよ?」
そんな会話をしながら、どこで寝ようかと考えていると、ふいに辺りが明るくなった。
「・・・う、わ。眩しー・・・」
『えっ、何、寝たんじゃなかったの』
「ん・・・?」
電気がついたようで、目を細める。
スイレンにいたっては、慌てていた。
「ん?・・・何だ、誰かと思ったら」
「えっ、あっ、デイダラ・・・?」
電気をつけた張本人は、デイダラだった。
最年少の彼はどうやら、水を飲みに来たようで寝そうな目を擦っていた。
「お前、あのー・・・あれだろ、イタチのだろ、うん」
「あー、はい、そうですね・・・」
「オイラ、お前に何かしたら、イタチに殺されるって旦那とか皆に言われてるんだけど、うん」
「・・・・・・・」
衝撃の事実。
返す言葉がなく、苦笑い。
(イタチ兄さんそんなこと言ったの・・・?)
「まあいいや。オイラ眠いし、寝るわ、うん」
「あ・・・お、おやすみなさい」
「?何言ってるんだ、うん。お前も一緒にだぞ」
「え?」
何故。
初耳なんだけど。
「お前がまたどっか行ったらイタチがまた機嫌悪くなる。それに、オイラが殺される、うん」
「!?」
イタチに関してはよく分からないがとにかく、デイダラについていった方が良さそうっちゃ良さそうだけど―――。
そんなことを考えていると、ぐいっと手を掴まれた。
「えっ?」
「あー、眠いったらありゃしねえな、うん」
「ちょっ」
そして、電気を消してそのまま歩き出した。
抵抗してみるが、たかが八歳。
年齢と共に力の差も圧倒的だった。