第10章 逃げ込んだ先に。
だが、とうの本人は無意識だったようで不思議そうにしている。
幸い、サスケもよく聞き取れていなかったようだ。
(余計なこと言うなよ・・・)
そんなことを口には出せず、そんな思いを込めてスイレンをじっと見る。
だけど、スイレンは、極めつけにこんなことを口走った。
『ん?どうしたの?ハル』
あ、終わった。
私は瞬時にそれを悟ると、1秒後には言い訳をどうしようかと考え始めた。
『―――・・・あっ』
スイレンもやっと自分のしたことに気付いたようで、ハッとしたようにキョロキョロと挙動不審に辺りを意味もなく見渡している。