第10章 逃げ込んだ先に。
「なあ、昨日のアレ、どういう意味だったんだ?」
不意に、唐突に聞かれる。
「は?」
「だから、昨日の。お前、そこの白いのと話してただろうが」
『白いのって言うな!』
スイレンがサスケに言い返すがサスケの面持ちは妙に真剣だった。
だが、意図が分からなくて聞き返す。
「ごめん、言ってる意味がよく・・・」
「とぼけんな!!」
サスケが突然怒鳴った。
びっくりして身を固める。
「お前、一体何者だ?よく考えてみたらおかしいんだよ。一人で旅してんのか知らねえけど、何でわざわざ姿を変える必要がある?やましいことがあるからだろうが!それに何だ?昨日の話は!?お前、イタチの何を知っている?」
一度に喋ったせいか、サスケは息を切らしていた。
「え・・・?ね、寝てたんじゃなかったの・・・?」
いきなりのことに頭がついていかない。
「・・・返事をしなかったからといって寝たとは限らないだろ」
確かに、それは最もだけど。
「・・・答えろ」
「・・・・っ」
「答えろよ」
「あ・・・」
「答えろ!!」
サスケがすごい剣幕で怒鳴る。
空気が震えた気がした。
私は何も言えないまま、固まってしまっていた。
(――今、言うか?)
自分が、“ハル”だってこと。
あなたの、死んだはずの妹ですよって。
(いや、でも・・・)
だが、私の心の中で葛藤も、無駄になるのもすぐだった。
『ちょっと。さっきから聞いとけば、何好き勝手言ってくれてんの?』
「は・・・?お前に関係ないだろ」
『関係あるから言ってる。お前さ、本当何なの?これだから人間は嫌なんだ』
そして、次の言葉で私は別の意味で固まることになる。
『ハルのこと悪く言うなら、殺すよ』
「・・・!」
「スイレンーーー!?」
今、“ハル"って言った。
言っちゃったよコイツ!!
「ん・・・?は?」
サスケもスイレンの言葉に引っかかるところがあったようで怪訝な顔をしている。