第10章 逃げ込んだ先に。
夕方になり、もうあたりは茜色に染まりかける頃、サスケは自宅に着いた。
「・・・・・・・・」
いつも通り、部屋の鍵穴に鍵を差し込む。
が、開いていた。
「・・・・・・?」
一瞬、泥棒でも入ったのかと思い身体が強張ったが、そうではないことに気づく。
(・・・クロか)
今日はさんざんな目に遭わされた。
どんな文句を言ってやろうか。
そんなことを考えながら、ドアノブに手を掛けた。
そのとき。
もしかしたらもういないんじゃないか。
そんな考えが頭によぎった。
いや、別にいいんじゃないか?
俺に関係ないだろ。
アイツがいようがいまいが関係ない。
そうだ。
俺は―――――
「入らないの?」
ふと、そんな声が聞こえて、顔を上げた。
「サスケ、いつまでそこに立ってるの?」
そこにはフフ、とかすかに笑うクロがいた。
(まだいたのか)
それはどういう意味で?
良かった?安心した?
それとも、早く出て行ってほしい?
サスケの中に色んな意味での感情が混ざって声にならなかった。
「お、前」
「ん?」
「――――・・・いや、何でもない」