第10章 逃げ込んだ先に。
ハルが去った後の三代目は、ただ茫然と立ち尽くしていた。
「・・・・・・・」
恨んでいるか、なんて今更すぎる。
結局自分は、イタチに甘えただけだ。
なのにイタチの妹は、それを「最善策」と言うのか。
“――――ハルです。覚えていただいていて光栄です”
忘れるはずがない。
イタチが里を抜ける直前に、自分に会いに来たとき。
イタチの目は、少し充血していた。
きっと、泣いたのだろう。
当たり前だ。
まだ13歳の子供に、あんな任務を託す方が酷な話だ。
あの時、イタチの傍にはいつか見た白のワンピースを着た少女がいた。
まっすぐで、何の穢れのない目。
黒く澄んだ瞳は、まるで自分を見透かしているような、責めているような、そんな感じを受けた。
火影になった以上、責任もある。
イタチに恨まれることも承知の上だった。
「・・・結局ワシは、まだあやつに甘えているのかもしれないな・・・」
青い空を見上げて、そうつぶやいた。