第2章 子供時代と一つの事件。
「えっと・・・あの・・・」
「・・・?あ、もう行くか?」
「そういうことじゃなくて・・・!」
(―――なんて言えばいいんだろう)
こういうとき、口下手だった自分に嫌気がさす。
「・・・イタチ兄さん、その・・・ハルは大丈夫だから、どこか遊びに行っても・・・ほら、シスイ兄さんでも誘って。ね?最近、疲れてるでしょ?」
シスイとはこの前会った。
イタチとシスイが仲がいいので、よく家に来ていたらしい。
私は寝ていたことが多く、会ったのはこの前が初めてだった。
今のイタチの年齢は11歳。
丁度、暗部に入ったころだと思う。まあ、カカシがいたのだからそれは間違いないだろう。
そのためか、最近疲れたような顔をしている。
(私なんかの誕生日に一緒にいたって、何にもいいことないのに)
「・・・そんなことないよ、ハル。俺は、ハルと一緒にいたいから今日ここにいるんだ。それに、迷惑なんて思ってないし。―――――じゃあ、行くか」
そう言ってイタチは笑った。
びっくりした。そんなこと言われたのは初めてだった。
それに。
(――――なんで、)
(そんなこと言えるの?)
イタチは、呆気にとられている私を抱き上げ、靴を履かせ、私を抱っこしたまま外に出た。