第10章 逃げ込んだ先に。
「・・・1つ、聞いていいか?」
「はい」
「・・・お前は、わしを、木ノ葉を恨んでおるか・・・?」
何を言っているんだ、と思わず言ってしまいそうだった。
それくらい、私にとっては愚問だった。
それでも言わなかったのは、問うた三代目の目が揺れていたからだった。
「・・・恨んでませんよ、別に。ああなってしまったのは三代目の責任ではありませんし、木ノ葉のせいでもない。逆に言えば、あれしか最善策はなかったんです、仕方なかったんです」
「・・・・・・」
「良かったんです、あれで。イタチ兄さんが任務を遂行したからこそ、サスケ兄さんが助かった、私が助かった。・・・正直私を殺さないのはびっくりしましたが、サスケ兄さんが今も生きているのは、敢えて言うなら、イタチ兄さんに任務を託した三代目のおかげなんです」
「でも・・・・」
「どうしても、それでも納得できないというのならサスケ兄さんのこと最後まできちんとお願いします。・・・サスケ兄さんに何かあったら、私、許しませんから」
強気で言った分、もう振り返れなかった。
「失礼します」と言うと、そのままスイレンの背に跨り別の場所へと向かった。
恨んでいるか、なんて。
聞くだけ無駄だ。
私が恨んでいるのは、私自身だ。
もっと大きかったならイタチに代わってあの任務を出来たかもしれない。
もっと優秀だったなら、何とかできたかもしれない。
もっと強かったなら、もっと早くに産まれてたなら。
でも、もうすべて終わったこと。
所詮、過去の出来事でしかない。
だから、もう迷惑はかけないって誓ったんだ。
だから、強くなるって決めたんだ。