第10章 逃げ込んだ先に。
「・・・・お前は・・・?」
ハルの髪は、黒く、腰までの長さ。
真っ黒な瞳に、まだ幼さの残る顔。
そして後ろを向き、髪を横に流した。
「・・・それは、」
背中には、うちはの家紋。
それを示す意味とは。
「・・・まさか、お前、」
三代目の表情に明らかな驚きが見て取れた。
「・・・イ、タチの・・・確か、名前は・・・」
「ハルです。覚えていてもらえて光栄です」
三代目は、呆然としていたが、しばらくすると「そうか」と言って眉を下げて笑った。
「大きく、なったな・・・」
「はい。あの頃に比べると」
「今はどこで寝泊まりしておるのじゃ?」
「今は、サスケ兄さんのところにいます。色々あって」
と三代目と話をしつつ、元の姿に戻る。
「もう戻るのか・・・?」
「はい。誰かに見られた、なんてことにはしたくありませんから」
「・・・そうか」
お互い話題がなくなって、あたりに変に気まずい空気が流れる。
その空気に耐えきれず、特に意味も無く、スイレンの頭を撫でた。