第10章 逃げ込んだ先に。
(この声は・・・)
「・・・嘘・・・」
「ハッハッハ。何をそんなに驚いておる?」
「・・・さ、三代目火影・・・?」
振り向いた先には、二年前見た時よりも少し老けたような、でも、威厳は相変わらずな、三代目火影がそこにいた。
「ほう、わしのことを知っているのか」
「え、っと、あ・・・」
『ねえハル。知り合い?』
「え、ああ、うん。まあそんな感じ。・・・そ、それより三代目火影様が、どうしてここに・・・?」
三代目は私の困惑した表情を見ると、「そんなに緊張せんでもよかろう?」と言い、私の横に来た。
「い、いえ・・・」
(まさか、さっきの聞かれてた?)
ハッと気づき、反射的に三代目を見やる。
「・・・・何じゃ?」
「あ・・・いえ、何でもありません。そ、それより今日は、暗部の方は連れてないんですか?」
「まあな。今はわしのお忍びってやつじゃ。たまにはこうして見に来る。・・・お前は、初めて見る顔じゃな。この里の者ではないだろう」
「あ・・・えっと」
何と答えたらいいか分からなくなって口ごもる私の様子を見ると、三代目は少し笑ってこう言った。
「いや、別に木ノ葉の者じゃないからといってどうこうするわけではない。・・・お前、名前は?」
「・・・クロです」
「・・・クロ、か。本名を名乗る気はないのか?」
まっすぐに見つめられ、思わず目をそらす。
やはりバレたか。
「・・・あの、本当に三代目お1人ですか?」
「そうだと言っておる」
「・・・・・スイレン、いいよね?」
『キミがいいと思うなら』
「ありがとう」
次の瞬間、ハルの身体を白い煙が包んだ。