第9章 クロとサスケと。
「ねえ、スイレン!追いつかれない!?」
『大丈夫でしょ。人間が僕に追いつけるわけないじゃん』
「でもこっち来てる!」
『あ、何なら、そこ入ってみる?扉開いてるよ』
「ちょっ、まっ――――」
そう言うとスイレンは急ブレーキをかけ、その教室の中に入って行った。
「え!?」
まあ普通そうなるわな。
今は休憩時間だったらしく、皆話していた。
そして、突然入ってきた私たちを見ると、その教室内は大パニックになった。
(ん?あれ、イルカ先生じゃない!?)
と、いうことは・・・。
「スイレン、止まって!ここ、サスケ兄さんいるよ!!」
『了解ー』
急いでキョロキョロと辺りを見渡し、サスケを探す。
「あ、見っけ」
「は?」
サスケは驚いたような顔をしており、口が開いている。
「サスケ兄―――・・・サスケ!!これ、忘れて行ったでしょ」
「・・・あ、ああ・・・」
「お届け物だよ――――って、ああああああ!!!」
見ると、入り口にはさっきまで追いかけていた男たちがいた。
よほど疲れたのか、肩を上下させている。
「スイレン!!」
半ば叫ぶようにスイレンの名を呼ぶと、スイレンもそれに気付いたようで軽く走ってこっちに来た。
『乗った?しっかり掴まってね』
「うん、大丈夫!!―――じゃあねサスケ!!これで午後も頑張ってー!!」
そう言うとスイレンは、丁度開いていた窓に足をかけると勢いよくジャンプして、外に飛び出した。