第9章 クロとサスケと。
「ああ、もう何でこんなことに・・・!」
「こら!!止まりなさい!!」
『やだよ、バーカ』
「こ、こらスイレン!!そんなこと言わないの!」
只今、大人の人と追いかけっこ中。
いや、追いかけっこなんて可愛らしいものじゃない。
緑のジャケットを着ていることを見れば、中忍あたりだろう。
「待てって言ってるのが聞こえないのか!?」
向こうもこっちも必死。
こっちはこっちで捕まりたくないし、向こうは向こうでこんな子供を逃がすわけにはいかないのだろう。
何にも悪いことしてないのに。
『嫌だって言ってるのが分からないのかな、まったくだから人間は・・・』
「今、アンタの声が聞こえるわけないでしょ!!」
『まあそうなんだけどね』
こうなることになった原因は、遡ること数分前。
「ねえ、スイレン。もうそのまま入る?ほかの場所見つけるの面倒だよ」
『そう?まあ、いいけど』
「あー・・・でも、見つかってめんどくさいことになるかもね」
『大丈夫、僕、足は自信あるんだ。いざとなったら逃げたらいいんだよ』
「え・・・逆にそっちの方が面倒じゃない?」
『大丈夫だって、キミは僕が守るからさ!』
そう話し合った結果、やはり正面から入ることにした。
建物の中は、今は、授業中らしく人の姿が見つけられなかった。
「んー・・・どこにいると思う?」
『あ、向こうだよ』
「うん、よろしく」
そんなこんなでのんびり歩いていると、そこに耳をつんざくような声が響いた。
「こら!!お前、何やってるんだ!!」
「ひっ、見つかった・・・!」
そこからというもの、スイレンがコンマ一秒で走りだし、今の状況に至る。