第8章 兄の心配と妹の意図。

サソリも予想外だったようで、呆気に取られている。




「・・・あの、昨日はすみませんでした」

『うわー、うわー！屈んじゃダメ！胸が見えちゃう！』

「えっ」





謝罪をし、頭を下げようとしたが、スイレンの一言によってピタリと動作を止めた。






「・・・ハルです。サソリさんですよね」

「あ、ああ。あ、どうせならサソリ様って呼んでもいいんだぜ？」

「・・・誰が呼ぶかこの野郎」

「聞こえてんぞ」

『ハル、ナイスだよ！』

「・・・・」









そんな調子でしばらく話していると。










「・・・おはようございます」






鬼鮫が起きてきた。






「あ・・・？今日は珍しく遅いな。もうこんな時間だぞ」







ふと時計を見上げると、もうお昼前だった。




「あれ、ハルさんですか・・・？今日は皆遅いんですねぇ。―――あ、大分壁直ったんですね」




そう言った鬼鮫の視線の先にはどうにか元通りになりつつある壁だった。









「あ、お腹すきましたよね。すみません」

「あー、まぁなー」

「わ、私は別に、」







くぎゅううううう。








「「「・・・・・・」」」







「ちっ、違うんです、これは、」

「・・・お前、腹減ってるんだったら言えよ」

『ハル、可愛い！』

「すっ、スイレン・・・」

「・・・すぐに作りますね」








鬼鮫は軽く笑うと、台所へ向かっていった。