第8章 兄の心配と妹の意図。
翌朝。
「ったく、何で俺がお前と一緒にやらなきゃいけねぇんだよ」
『ハル、大丈夫?』
「あ、うん。昨日の敵は今日の味方って言うし」
「おいテメェ、誰と会話してんだよ」
「・・・・」
「・・・まあいい。めんどくせぇからさっさと終わらすぞ」
サソリの問いに答えることなく、頷き返したハルは傍にいるスイレンの頭を撫でて作業を再開した。
そして、10分後。
「・・・・・・・」
20分後。
「・・・・・・・・・」
30分。
「・・・何か喋れよ」
「・・・」
「・・・ハァ、お前、人見知りか?」
沈黙。
「・・・・あー、一昨日の茶髪の女って本当にお前か?」
コクリ、と頷き肯定を示す。
「・・・そうか」
実は結構好みだったサソリ。
自分の半分も生きていないハル。
殺しかけた手前、そんなこと言えないしこの歳の子供に言ったところでどうにかなる訳でもない。
「・・・」
すると、言葉につまるサソリをハルはじっと見上げるとゆっくりと印を結んだ。
「・・・もしかして、この姿の方がいいですか?」
『ハルー!!そんな格好したらダメ!』
「・・・着せたのはスイレンじゃない」
ボフンと煙がハルを包み、次の瞬間には店で見た茶髪の女の姿になっていた。
しかも、来ている着物も一緒。
「・・・お、おお・・・」