第8章 兄の心配と妹の意図。
「チッ、避けたか」
ハルは寸でのところで避けており、サソリはイライラしてきたのか少し攻撃が雑になってきていた。
その原因は、実際、ハルがあまりにも無表情で避けるからなのだが。
「・・・あ、ぶなっ」
そう小さく声を洩らすハルの傍に、スイレンが来て、一度煙になると、人間の姿になった。
「―――何だ?」
「・・・スイレン」
『もう見てらんない。ねぇ、僕が黙って見てるとでも思ってたの?』
「う・・・」
『まあ、いいよ。あとでじっくり話聞かせてもらうから』
突然出てきた昨日の女に呆気に取られる一同。
『じゃあ、早く終わらせるよ。ねぇ、どうしたらいい?』
「・・・殺したら駄目だから。私が、いいって言ったら」
『了解』
そう一言答えた。
「は・・・?」
「・・・ストップ」
『・・・・・』
――――一瞬の出来事だった。
「戻っておいで、スイレン」
サソリの首元には、クナイ。
スイレンが後ろから回り込んでいた。
「・・・チッ、」
「ほら、終わり。それにスイレン、するなら左胸かな」
「・・・・お前、」
「そこまでだ」
「・・・ペイン」
再び飛びかかろうとしたサソリにストップを掛けたのは、暁のリーダー、ペインだった。
「そこまでにしろと言っている。・・・・アジトを壊す気か?」
「えっ」
「あっ」
ふと周りを見渡すと、壁がへこんでいた。
「あ、あの時の・・・」
サソリが傀儡ごと突っ込んできた時だ。
「・・・サソリ。お前、明日ここの修理を終えるまでアジトから出てはならない」
「はぁ!?」
「それはそこの・・・イタチの妹も同じだ」
「・・・ハイ」
とにかく、これで終わりです。
そう鬼鮫が言ったことでその場はお開きになった。