第8章 兄の心配と妹の意図。
「そもそも、何で俺がお前の言うこと聞かなきゃいけねぇんだよ。めんどくせぇ」
ガタ、と席を立ち手をヒラヒラ振る。
「―――・・・まぁ、どうしてもって言うんだったら力ずくでしてみろよ」
挑発的にそう言って背を向けたサソリ。
そこに声が掛かった。
「・・・イタチ兄さんを困らせないで貰えますか」
「・・・あ?」
空気がぴしりと固まる。
「・・・ハル、」
いつの間にかハルはイタチの膝から降りて、あの白いオオカミの隣に立っていた。
「んだよ、テメェ」
「・・・イタチ兄さんを困らせないで下さい」
「はっ、テメェが相手になんのか?」
「・・・それは、」
「つべこべ言ってんな、ガキ」
「・・・・」
「・・・分かりました」
「はっ、そうかよ。せいぜい楽しませろよ――な!!」
ボフン、と煙が出て傀儡が出される。
「サソリ!!いい加減に――」
「小南、別に俺はどっちでもいいんだぜ?コイツが言ってきたんだからなァ」
「だからって、子供相手にそんなこと、」
「っと、おらァ!!余所見してんじゃねぇぞ」
ひゅっとサソリが手元のチャクラ糸を動かし、ハルに向けて傀儡からクナイを放つ。
「っハル!!」
ハルが全部避けて見せると、サソリは不満げに舌打ちをした。
「あ?ったく、ならこれだ!!」
今度は傀儡自体をハルに突っ込ませた。
「ハル!!」
煙が立ち込めてそれぞれが咳き込む。
自己紹介が目的だったのに、何故こうなってしまったのか。
それは、本人たちの性格が災いしてのことだ。