第8章 兄の心配と妹の意図。
「あれ、小南さんがいませんね。どなたか知りません?」
そう言ったのは鬼鮫だった。
「そういやイタチもいねぇな。―――もう夜ご飯だってのに」
夜ご飯の時間になっても、人数が揃わない。
特に小南ならご飯時には必ずいるのに。
「・・・おかしいですね」
「何がおかしいの?」
「え?」
その場にいる全員の視線が声のした方に向く。
「いや、別に・・・」
そこには小南とイタチと、白いオオカミに跨がった黒髪の少女がいた。
「・・・ご飯なのに来ないから待ってたんですよ」
「あら、そうなの?ちょっと話してたら遅くなってしまって」
「んなことより飯だ飯!」
ひょいっと、飛段がつまみ食いをする。
「あー!ずりぃぞ、うん!オイラだって――」
「いただきまーす」
「ほら、ハルここに座れ」
「角都ー」
「分かってる」
おかずの奪い合いが始まった。