第8章 兄の心配と妹の意図。
少し歩くと小南が立ち止まった。
「ここよ。さ、入って。―――私はここに住んでる唯一の女だから、あなたがきてとても嬉しいわ」
「えっ?」
「ん?」
「・・・私、ここに住むんですか・・・?あ、いや、さっきの・・・話し方だとそんな感じに聞こえて・・・」
勘違いだろうけど、一応聞いておく。
「えっ?違うの?」
「・・・・・」
『・・・・ここに住むの?』
固まった私を余所に、小南は椅子に座るように私に促した。
「まあ、何がともあれ、こうしてまたあなたに会えて良かったわ、ハル」
「・・・はあ・・・」
「ああ、あなたの名前はイタチが言っているのを聞いたの。ごめんなさいね、勝手に」
「い、いえ・・・」
小南の部屋は質素で綺麗だった。
想像通りの部屋で、思わず苦笑いしてしまった。
「どうしたの?」
「あ、いえ別に・・・」
ベッドの脇に置かれている写真があった。
写真立ての中に写っていたのは、
「ああ、それ?私の小さい頃。横にいるのは私の大切な人たち。今はもう・・・一人いなくなっちゃったけど・・・」
そして、掠れた声で言った。
「―――・・・弥彦、長門」