第8章 兄の心配と妹の意図。
「・・・・・・・」
ハルは、困惑していた。
目を開けると目の前にイタチの顔。
(・・・どういうこと?)
自分は何していたんだろう。
思い返しても記憶がない。
ふと、イタチの顔を見つめる。
(やっぱりイケメンだ・・・)
我が兄ながらそう思う。
そこで気づく。
「・・・あ、れ・・・スイレン・・・?」
『呼んだー?』
「・・・う、ん・・・」
いないと思ったらいた。
神出鬼没だ。
『・・・寝惚けているみたいだね。そろそろ起きてもいい時間だと思うんだけど』
「・・・・」
『もう夕方だよ?夜寝れなくなるよ。ほら、僕が乗っけてあげるから』
「んー・・・」
モゾモゾと身体を動かし、ベッドから降りる。
いつのまにかオオカミの姿になったスイレンの背中に跨がり、そのままうつ伏せに身体を預ける。
『あ、もー・・・また寝てる。まあいいけどさ』
「無理・・・眠い・・・」
半寝のハルを背中に乗っけると、そのままスイレンは広間に向かった。
『部屋の位置は大体分かるから』
「・・・さすがー・・・」