第8章 兄の心配と妹の意図。
「ふぅん。妹としてはあんなところにいたのは複雑だなぁ・・・」
「・・・あれは偶然なんだよ」
訝しげな目を向けられ、苦笑いする。
ハルを見ると目を擦っていたので早々と話を切り上げ、ベッドに移動する。
「おいで、ハル」
「ん」
「眠いのか?」
「・・・少し」
夢うつつのハルに声を掛ける。
「・・・そろそろ寝るか?」
「・・・うん」
横になり、頭を撫でてやるとあっという間に寝てしまった。
「・・・大きくなったな・・・」
目を閉じているハルは少し大人びたようにも見える。
この2年間、何の目的があって自分の元を離れたのかは分からないが、それでもハルは自分の妹でしかないし、それは変わらない。
(守るから)
無防備な寝顔がそれを強く意識させる。
兄は妹のことがいつまで経っても心配なのだ。
「俺も寝るか・・・」
妹の頭を再度撫で、自分も眠りについた。