第8章 兄の心配と妹の意図。
「・・・怒って・・・る、よね・・・?」
そう言ってこちらを見上げるのは、2年間行方不明だった妹。
―――あのあと、何か事情を察したらしいペインが、暁メンバーを連れて店から出るとアジとへと帰ってきた。
その間、ハルは俺が抱っこしていたわけだが。
白い髪の女は気が付けば見当たらなくて、その代わりにハルの肩にはいつか紹介してもらったネコが乗っていた。
「・・・怒ってるよ。俺に何も言わず出ていくなんて、心配したに決まっているだろ」
2年ぶりに再会した妹は、記憶の中よりも随分と大きくなっていて。
抱き締めた感覚はひどく懐かしかった。
「・・・とにかく、無事で良かった」
「・・・・ごめんね」
「お前に何かあったらと思うと・・・俺は・・・」
「ごめん。もうどこにも行かないよ」
妹は、微かに笑ってそう言った。
「―――それより、何で分かったの?」
落ち着きを取り戻すと、ハルと二年間のことを話しながらさっきの店のことに話題が移っていった。
「・・・お前のチャクラぐらい、分かるよ」
「・・・まあ、イタチ兄さんならそうだよね・・・。なら、何で探さなかったの?心配だったんでしょ?わ・・・ハルのこと」
「そうだな・・・。探さなかったじゃなくて、探せなかったんだよ」
「・・・?」
妹は、不思議そうに俺を見つめた。
その漆黒の瞳は今でも変わってなくて、何でも見透かされてそうだと思った。
「・・・お前の手紙をフクロウから貰ったとき、俺は任務に出てたんだ」
今すぐにでも行きたかった。
「・・・任務を終えて、探しに出たけど、時間が経ちすぎて辺りにはお前を探す手掛かりが無くなってた」
茶髪の女を見たとき、興味は無かった。
だけど、近くに来たときに感じたチャクラ。
間違える筈がない。
ハルだと思った。
「あの店に行ったのは本当に偶然だった。正直乗り気じゃなかったけど、行って正解だった」