第7章 帰ってきました。
しかし、それもある一言によって事態が急変する。
「俺の傀儡はなァ、傑作なんだよ。何で分かんねぇかなァ。あ、そうだ。丁度イイ、俺今気分がいいんだ。―――お前も傀儡にしてやるよ」
「――――え?」
やばい、と思った瞬間。
私の身体を庇うように誰かが前に出た気がした。
「・・・スイレンっ」
『お兄さーん。止めてもらいますかね?』
「チッ、何だテメェ。俺の邪魔しようってのか?」
『邪魔するも何も、クロが怖がってるじゃないですかぁ』
私の前に出てきたのはスイレンだった。
いつの間にか部屋の中はシーンと静まっており、その部屋にいる全員が私たちに注目した。
「・・・・・」
無言の睨み合いが続く。
先に静寂を破ったのは、サソリのほうだった。
「――テメェ、何者だ?」
『と、いいますと?』
スイレンは尚もヘラリと笑って答える。
「・・・テメェ、どこの里の者だ?俺に対してビビりもしねぇ」
『どこの者でもないよ。・・・はあ、これだから人間は嫌なんだよね』
「スイレンっ」
「っテメェ―――」
そんな荒々しい空気を抑えたのは、暁のリーダー、ペインだった。
「・・・・・サソリ、止めろ。こんなところで面倒事を起こすな」
「・・・・・チッ」
『そっちのお兄さんは物分かりが良くて助かるなあ』
「ウチの者がすまないかった。謝る」
『いえいえー』
スイレンは言葉を区切ると、次に普段のスイレンからは想像できないような低い声でこう言った。
『あはっ―――――次はないと思え』
「っ、スイレン!時間・・・!」
ふと時計を見ると、入ってから約一時間経っていた。
正確には59分。
『っやば・・・!!』
この部屋に入る前にした会話を思い出す。
〈一時間?〉
〈そ、一時間。一時間経ったらその術は切れるようになってるから〉
無理矢理ハルにさせたせめてものお詫びをとスイレンがその条件付きの術を私にかけ直した。