第7章 帰ってきました。
『―――失礼します』
「しっ、失礼します」
お辞儀をする。
『今回、付かせて頂くことになりました、スイレンです。で、こちらが』
「ハ――・・・クロです」
『よろしくお願いします』
「よっ、よろしくお願いします」
顔を上げると。
(ギャアアアアアア!!)
『失礼しまーす』
「可愛いねぇ。もっとこっち来なよ」
『あっははー。クロ、頑張って』
「・・・・」
顔を上げた先には。
「おいおい、顔こえーぞ?―――イタチ」
「・・・・」
(な、何で)
頭のなかが真っ白になった。
スイレンはイタチの顔を知らないから多分私が焦っていることには気付いていない。
『クロ?どうしたの?』
「・・・あ、うん、何でもないよ」
スイレンの声にはっと我にかえる。
(―――・・・大丈夫よ、多分)
顔も、年齢も、髪型も、髪の色も、全て“ハル”とは違う。
これで気づいたら、超人だ。
深呼吸して落ち着かせる。
「あ・・・」
『クロは、そこの黒髪のイケメンさんについて。すみません、初めてなので』
「あ、イタチも初めてなんで大丈夫ゥ」
『・・・イタチ?』
ん?とスイレンが首を傾げる。
が、それも一瞬のことで悟ったらしく、私の顔を見ると何とも言えない渋い顔をした。
『・・・えっとぉ・・・く、クロ、僕と代わろっか』
「う、うん・・・」
スイレンの提案に断る理由もなく、イタチの傍から離れる。
いや、
正しくは、離れようとした。