第7章 帰ってきました。
『ねえ、ハル。起きて、着いたよ』
「んー・・・どこに?」
目をゴシゴシとこすれば、そこには人型に戻ったスイレンの姿があった。
ふと周りを見渡せば、人がたくさんいる。
「・・・ここ、どこ・・・?」
『ああ、ここ?ここは木ノ葉の里だよ。キミ、ここに住んでたんでしょ?』
「・・・・木ノ葉?」
『そ。キミも久しぶりでしょ?』
「・・・それはそうだけど・・・私は、死んだことになってる・・・と思うんだけど」
『ああ、それね。大丈夫だと思うけど・・・ま、何とかなるでしょ』
「・・・んな適当な・・・」
スイレンの意図がいまいち掴めない。
「・・・ねえ、ここに何しに来たの?」
大通りに出て、歩く。
すると、スイレンが足を止めて私に言った。
『・・・ねえ、キミは、この世界のお母さんに会いたい?』
「・・・言ってる意味がよく分からない」
急にそんなこと言われても困る。
「・・・それは、うちはミコト・・・にってこと・・・?」
『もちろん。・・・もしかして、前の世界のお母さんに未練とかあったりする?』
「いや、それはないけど」
『・・・即答だね・・・』
私が前の世界の母親に会いたいだなんて思うはずがない。
ピシャリと言い放った私に、スイレンは苦笑いをした。
「・・・でも、母さんは・・・っていうか、うちは一族はもうサスケ兄さんと私とイタチ兄さん・・・とあと一人い るけど・・・それ以外はもう・・・」
『・・・そうだね。確かに、もう死んでる。けど、もう一度会って話せるとしたら?』
「・・・・・・・正直。正直に言わせてもらうと」
『うん』
一つ、息を吐く。
たくさんの人の流れで、にぎやかで楽しそうな親子の声。
その中に混じって私たちだけ、この場に似つかわしくない会話をしている。
笑いあう親子の姿を横目に見ながら、私は言葉を紡いだ。
「・・・正直、どっちでもいい」
『・・・え?』