第3章 兄妹再会!?
「無事で、よかった」
私にとって、思いもしない言葉。
この兄は、もっと血も涙もない人物だと思っていたのだが。
「な、何言ってんの、私が死ぬわけないじゃん!
…て、いうか私を元の世界に帰してよ!」
「…やだ。」
「やだ? やだ。って! 私は向こうの世界の人間なのに困りますぅー!」
あまりにも子供染みた呂布の物言いに私も子供染みた言い方をする。
「知っている」
呂布は強い口調でそう言ったので、私は動揺した。
「わ、私には、家族も友達も向こうの世界にいるんだよ?」
「知っている」
やはり呂布は強い口調でそう言うのだ。
それでもこの世界に残れというのなら、それは残酷すぎるという話だが、彼にとっては私の周りのことなんて関係ないのだ。
なのに、私は一瞬本気でうなずきそうになった。
でも、私は彼にとってはあくまで『妹』であり、チョウ蝉さん以上にはなれない。
それなら、…ただむなしいだけ…
「…私には、向こうにとてもたくさんの大切なものをおいてきてしまったんです。…それに大切な人に挨拶もせずにこの世界で生きろというの?」
そう呂布に言うと、渋々…かなり渋々であるがやっと了承してくれた。
「…向こうの世界に行くには指輪が必要だ」
「指輪?」
「ああ。チョウ蝉がもつ黒メノウの指輪だ」
じゃあ、と私が顔を上げると、呂布はバタバタと走って行こうとした兵士を一人捕まえて、
「おい、チョウ蝉はどこだ?」
と聞いた。
すると、兵士はおどおどしながら、
「は、はぁ。先ほど何やら怒りながら門より出でて防御拠点へ向かったようですが」
「なぜそれを早く言わん!????」
哀れ、罪なき兵士は暴れ狂う呂布の被害者に…。