第2章 虎牢関にて
「では、連合軍の精鋭隊をお借りしましょう」
そう言って現われたのは『天女護衛軍』とすごい旗をびらめかせた、孫・曹・劉、さまざまな鎧を着た兵士たち。
…いや、てれるんですが。
こうして送り出された私は虎牢関へと向かう。
その間にも何にもの敵兵が押し寄せてきたため、私も覚えたての槍を振いながら前進していると、不意に背中合わせになった少年に、
「天女は槍を振えるんですか?」
と聞かれ、何と答えていいのかわからなかったため、
「まぁね」
とだけ言っておいた。
そんな会話をしていると、再び虎牢関から一隊が押し寄せてきた。
精鋭と言えど、こちらは決して多い人数ではない。
さすがに押され始めたところ、後ろにいた少年が不意に、
「ここは私に任せて、天女殿は呂布のもとへ」
ドンと背中で背中を押された。
「う、うん…」
そう言って振りかえるとその顔に見覚えがあった。
「…まさか…!」
それはまぎれもなく、姜維だった。
時空の歪みがここまであったのか、ということよりも、それが姜維だったということのほうが驚きであった。
「姜維!!」
呼んでみたが、敵味方入り混じる戦場にその声はかき消されてしまった。
本当に大丈夫だろうか。
時空の歪みで、孔明に会う前に姜維が死んでしまうなんてこと…
と心配になったが、もう虎牢関は目の前。
迷っている暇は…ない。