第2章 虎牢関にて
「孔明ーーーーー!!」
庵の前で私はこぶしを振り上げて叫んだ。
「なんですか? 騒がしい。朝から近所迷惑な…というか私が迷惑です」
「迷惑にしたんですー。
だって話と違うじゃないですか…!なんなんですか、天女ってー!」
「我ながらなかなかの策かと」
「そういう問題じゃない!」
どうやら本当のことを知っているのは私と孔明と月英さん(さっきので趙雲さんも)だけらしく、劉備さんや張飛さんたちには天女、ということになっているらしい。
「着ていたものも私たちのものとは違いましたし、どちらかと言うとそちらのほうが説得力があるような気もします」
確かにこの世界の住人ではないが天女はないよ。
「他の軍、曹操様や孫堅様にもそのようにつたえてありますので、どうかご内密に」
それはそれは…大変なことになった。
私の責任は相当重大だ。
それにしても、孫堅さんって。
孔明がいて、虎牢関の戦いだし、指輪のせいでずいぶん時空がゆがんでしまったようだ。
いったいこの後、どうなってしまうのだろう。
でも、ただのゲームだし。
リセットボタンを押せばパーっと元に戻るのだから、私はただ呂布と会って、元の世界に戻る方法を探せばいいだけの話なんだ。