第5章 指輪滑伝〔黒〕(逆ハー夢)第一章
凌統さんの前で馬にまたがる私。
しばらく馬を走らせていると、少し冷静になって来た。
…そうか、やっぱりここは三国世界なんだ。
じゃあ、やっぱり姉さんは…
「これはね、昔呂布とチョウ蝉さんからもらった指輪なんだ」
懐かしそうに、指に合ってないあの大きな指輪をしてたっけ。
思い出したら、少し姉さんに会いたくなった。
「あそこだ」
孫策さんの差したのは、竹林の中だった。
竹林に虎とはなかなか絵になる。
そんなのんきなことを考えながら、私はほっとした。
凌統さんに馬から降ろされ、孫策さんの後について竹林を進む。
なかなか拝めないような、美しい竹のトンネルだった。
「お、いたいた。だめじゃねえか、坊!」
例の虎は、相も変わらず私に怯えていた。
別に指輪返してくれれば取って食ったりしないのに。あたしゃ化け物かよ。
そう思いながら坊のもとに歩み寄ると、坊の腹のあたりには生後間もないような虎の赤子が3匹チイチイと鳴いていた。
「アンタがつけるにゃずいぶんでかい指輪だね」
子どものおもちゃにされてら、と凌統さんはぼやく。
うん、子どもからおもちゃを取り上げるのは申し訳ないと思うけど、背に腹は代えられないんですよ、と子虎から指輪を取り戻そうとした瞬間。
ごくん!
子虎の一匹が、指輪をパクリと口に入れたかと思ったら、そのままひと飲みにしてしまった。
あ、ありえない!!!!
あとがき
閲覧ありがとうございます。
初めまして、もしくはお久しぶりです。
約4.5年ぶりに書き直しました。
また連載を始めようと思ってます☆どうぞよろしくお願いします。
久しぶりに書いたら…ヒロインの性格がおかしくなってる。もっと大人しくて冷淡な子だったはずなのに…