第4章 そして別れ
なんとか方法がわかった私は少し平らなところに指輪を置いた。
「ごめんね、チョウ蝉さん。思い出の指輪…たぶん一緒に移動しちゃうんだよね」
私が謝ると、チョウ蝉さんはにこりと笑った。
「構いませんわ。またひとつ、思い出ができましたもの。…それに、それがある限り、私たちは再び会えるかもしれません」
「チョウ蝉さん…!」
私はうれしくなってチョウ蝉に抱きついた。
「あなたは私の妹でもあります。いつも幸せであることを祈ってます」
「私も、姉さんの幸せを…祈ってます!」
しばらく私たちは抱き合って、そして離れた。
「…伊緒さんでは少し体重が足りませんね」
「うん…。呂布兄、踏んで」
指輪に向き直り、私が呂布に頼むと、呂布は断固として首を横に振った。
「お前はここに残れ!」
「な、ちょっと空気読もうよ!そういう感じじゃないんだよ、今」
しかし呂布は岩のように動かない。
「お前は俺たちの妹だ。ここにいればいい」
「-----っ!分からずや!私は向こうに親も妹もいるのっ帰るの!」
「やだ」
この押し問答、いつまで続くやら。
私はたまりかねてチョウ蝉を見ると、チョウ蝉もさすがに頭に来たのか、仁王立ちになって怒った。
「奉先様っ!情けのうございますよ!そのように子どものように駄々をこねないでください!私たちの妹の門出、堂々と見送りなさいませ!!」
呂布が一瞬、小柄なチョウ蝉よりも小さく見えた。それぐらい萎縮し、反省したようだ。渋々、本当に渋々だが踏むことを了承してくれた。
「分かった、踏もう」
そう言って指輪の前に立った。