第5章 ごたいめーん…
「ご迷惑をおかけしてすみません」
「いえ、殿がお気になさるようなことではありませんよ。しっかりと身を休めてくださいね」
では、と言って部屋を出て行った小山田。
静かになった部屋ではいろいろと考え込んでいた。
これから自分の身はどうなるのだろうか。現代で見た夢小説ならば何とも好都合なことか、食事や部屋まで与えてもらい、その上客人として迎えられてかなりいい生活を送っていたような気がする。それに、佐助と和解するにも確か一日もかからなかった小説だってあった。だがここはどうだろう。佐助と話もろくにできず、あんなにも自分が異物者として見られるなんて予想もしていなかった。やはり何の努力もしない人は報われないということか。
もしかしたらこのまま受け入れられることなく叩き落とされ、飢え死にでもしてしまうのではないか。現代に戻されるのならいいがそんな手段は思いつかないし、運よく戻れたとしても相当の時間が経っているはずだ。不審な目で見られてしまい、そっちでも受け入れられないかもしれない。そもそも帰れるのだろうか。
「…駄目だ、なんか一人でいるといろいろ考えちゃう」
頭をぶんぶんと振って頬を軽くたたいた。
あまり深く考えすぎてはいけない。冷静な心を保って、そしてこの地に慣れなければ誰も受け入れてはくれない。由良と出会い、そしてあの山小屋から出て来られた。ということは多少神様もこの地を楽しめと言ってくれているのかもしれない。
「大丈夫。うん、まだ平気」
駄目だと思ったらあれだ。受け入れてくれそうな所を渡り歩くしかない。それか村にでも入り、職を見つけて自ら生計を立てるほかない。
それがの生きる道だと思った
そして目を閉じた。