第3章 これしかありませんよねわかります。
「はいっこれで大丈夫ですよ」
「有難うございます、こんなきれいな布まで…」
手当をしてる間、若者は布から目を離さなかったがは気にすることなく手当をしていた。恐らくこのような時代にきれいな布なんて珍しいものなのだろう。
「夜が明けましたら山を下り、我が主の武田信玄様のところへ行きましょう」
「たっ…?!」
やはり武田信玄が主のようだ。
若者は思いついたようにの手を握った。
「是非お礼がしたいのです。ついてきてはくれませんか?」
「そんな、私は何もしてn」
「してくださいました。」
にこりと微笑んでいるものの何故だか黒い影が見えたので必死には頷いた。
するとその若者は名を名乗った。
「私は小山田信茂と申します。」
「小山田…さん」
確かこの人は幸村と九州のほうへ同行した時、途中の戦で死んだ人だ。この小山田が生きているのならまだ豊臣が本格的に動いていない時期だと思われる。
「あ、私は です」
「殿、ですね。改めて此度は有難うございました」
小山田の笑顔はとても優しい兄のような微笑みだった。
画面越しで見るよりも若く見える。それともそんあんい意識してみていなかったから細かく見なかったということなのだろうか。
実在する小山田がどういう人物化は全く知らないが、きっとこんな風に優しい人なのだろう。
「では微力ながら晩の護りは私が」
「いえ寝てください。」
「しかし、このような暗き横穴には熊がすんでいるなどという話を」
「来ちゃったときはその時ですから、ね!」
小山田に無理矢理簡易掛け布団を投げつけ、は抱き枕を枕にしてごろんと寝転がった。