第19章 恐怖でしかない
遂にか、とは暗い表情を浮かべる。
「あの、因みに今ここにいるのって」
「この館を守れるだけの兵と、それを纏める小山田、…くらいですかね」
「そ、そうですか…」
できる事なら私も連れて行ってほしかったというのが本心だった。
織田といえば卑劣な戦を繰り返し、誰からも恐れられるような手段しか択ばない。こうして幸村達と離れているだけで変に不安になってしまう。
「今幸村隊は織田本隊との接触を試みて伊達軍と合流しているはずです」
それを聞いての不安はもっと増してしまった。
織田本隊と接触をするなら少なからず手傷は負うはずだ。それが致命傷にならなければいいが万が一という事を考えると小山田に聞いてしまう。
「いつ帰って来るんですか?」
「予定ではあと5日程は…」
5日も信玄や幸村達の声が聞けないのかと思うと早く帰ってきてほしいと願うばかりだ。
それしか戦力を持たないはできなかった。
「敵襲ッ!!小山田殿!こちらに織田軍が向かっているとの模様!」
「なに?!」
小山田は少しでもの不安を取り除いてやろうと談笑をしていたのだったがその途中、突然足軽が転がり込んできて報告してきた。
「な、なんで、幸村さんたちは」
「その包囲を潜り抜け、明智光秀を名乗る武将がこちらにッ」
その焦り方はもうすぐにまで来ているとの事を報せるようなものだった。小山田はに着物を被せ、一番安全な奥の部屋へと連れて行く。
「…嘘、怖いな…」
自分が危機に晒されているとはもう頭の中では処理しきれずまるで他人事のように事態を見ていた。
だがざわつき、防具を準備しだす足軽達をみて、いかに今どれだけ危険な状態なのかというのが嫌でも感じ取れてしまう。