第17章 迎えに来たのは
夕方ごろ、馬の限界までブッ飛ばしたおかげでつくことができた。
「ありがと、重かったでしょ?」
武田の屋敷の近くに馬をとめ、荷物の中から水を取り出し馬に飲ませてやると嬉しそうに嘶いてから飲んでくれた。
「…ごめんね、加賀に行けなくて。お前と加賀の景色見てみたいよ」
水を飲んでいる馬に話しかけて頭を撫でてやる。手、というか腕、というかの体全身にすり寄ってきた馬をぎゅっと抱きしめる。
すると門番に話をしていた慶次が帰ってきて
「え、羨ましい」
とボソっと呟いたのが聞こえた。
はっとして振り返ると口を押えた慶次が突っ立っていたのでつい噴き出してゲラゲラ笑ってしまった。
む、と慶次は顔をこわばらせたがそれもとてもかわいいものにしか思えない。
「慶次っ、なに、抱きしめてほしかったのっ?」
「は?!ち、違うから!」
何処のツンデレだよ、とは軽く笑って慶次に向かって両腕を広げた。
「え?」
「え?抱きしめてあげるよ」
「別にいいよ!!」
「照れるな若造」
「なんだよそれっ!」
友好の証だよ?と言って見せればおずおずと慶次はを抱きしめた。それはまるで思春期の子供の用で慶次の胸板に顔を押し付けてクスクス笑ってしまった。
「な、なんだよっ」
「慶次って初心なの?」
「違うよ!」
そうかぁ、とは慶次から離れて行こっかと促した。
慶次の顔は真っ赤だったのをは見逃さず驚きの速さで写メった。