第2章 こんにちは非日常。さよならしたいです
「…ええと、この状況は…?」
「あなた、ここがどこだか知ってるのかしら」
強気なその声は妙にイラつかせたが今はそんなことを言ってる暇はない。
上から目線だろうがなんだろうが相手が確実にここがどこだかを知っているのだ。まぁ知らなかったらブチぎれてもいいと思うが。
「知りません、けど」
そう、といって相手の女性はふぅ、と息をついた。それは安堵の息なのか呆れからくる息なのかは知らない。
「落ち着いて聞きなさい」
女性はまず名を名乗ってくれた。由良というらしい。
由良が教えてくれた状況は以下の通りだった。
ここは外れにある小さな山小屋の地下にある牢屋のようなところで、その牢屋の一部は崖に面して露出しているらしく一室だけ光が差し込むようになっているらしい。それがのいる部屋だ。
そしてこの牢屋には数十人の女性が閉じ込められており、一度ここに入れられると自由に外に出歩くのはほぼ不可能だという。
そしてここはの生きていた時代で言うなら人身売買に賭けられる女性を留めておくための場所だという。昨日は2人、一昨日は4人いなくなった。そして今日とその他数人の女性がまた連れてこられたのだという。
いなくなれば補充し、補充すればまた売り飛ばされる。女性に値段をつける方法は売り側、つまり攫ってきた男が最低額を決め、それに買う男が上乗せしていくというシステムらしい。
そしてがいる部屋は最高額がつけられる女性が置かれる場所だという。攫われてきた女性のなかでも1番気品があり美しい女性がいれられるとか。