第8章 ヤキモチ
近づいてみても特に反応はない。
そっと髪の毛に触れてみると、
少し身をよじっただけだったので
寝ているのを確認できた。
モブリットは、
起こさないようにベッドの脇に手を置き、
しゃがんでカコの目線に合わせた。
モブリットは自分の方へ向いている寝顔を
じーっと見つめる。
先ほどの様子とは全く正反対な
穏やかな寝顔。
それにつられ、そっと手を伸ばし、
髪から頬へと滑らせた。
親指だけを動かし、
肌の柔らかさを味わってみる。
小さく声を漏らして、
モゾモゾと動くが、
少し起きてほしい気もしていたので、
頬に手は添えたままにしておいた。
「可愛い…。」
特に起きる様子もない
カコの顔を見つめながら
つい言葉がこぼれる。
こんなにもカコのことしか見えていないのに、
この人は何をそんなに心配しているんだか。