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妖怪町.手伝い係

第4章 【妖怪町】旅館


目を覚ますと電気をつけてなかった部屋は真っ暗になっていた。

もうそんな時間か...と僕は起き上がった。

「何か...何か大事なことがあったような.........ああああ!!!飯!!時間!はギリギリセーフか...!」

僕は立ち上がると食堂の方へと走って向かった。


現在、9時40分。食堂前到着。

「ま、間に合ったあああ...」

僕は息を切らしながら食堂へたどり着いた。こんなに全力疾走したのは何年ぶりだろう。久々に走るとこんなにも辛いものなんだな。



そして僕は食堂の扉を、開いた。
そこにはたくさんの妖怪たちで賑わっていた。一目見て妖怪だと分かるものもいるし、一見普通の人に見える妖怪もいる。

(こ、こんなに沢山......)

「でしょ~?この時間帯が一番妖怪が集まるときなんだぁ♡」
「わああああああああああ!!!!」

僕は背後から声が急にしたのにも驚いたし何より僕の心を読んだかのように答えてきたからだ。

僕は後ろを振り返って声の主の顔を見る。顔も体も普通の人間と同じような感じだ。目の下にクマがたくさんある。

「そんなに怖がらないでよぉ~、ひどいなぁ♡君、人間の子でしょ?匂いが違う......それに結構話題になってるしねぇ♡」
「へ......話題に?」

クマの男の人は空いている席に座り僕にも「どうぞ♡」と言ってくれたので僕は「どうも....」と言って座った。

「そうだよ♪天狗様が、気に入っている人間だ~って。」

気に入っている。その言葉に、僕は反応してしまってついつい鼻血が出てきてしまった。
僕はクマの男の人に小さい声で謝ってティッシュを取りだし鼻血を拭く。

「えっと...気に入っているって...そんな...」
「滅多にないことだから誇りに思った方がいいよぉ♪」

クマの男の人はそういうとにっと笑った。
その笑いが少し不気味で怖い。
人間の年齢からいくと20代くらいなのに喋り方はどこか幼児のようで。

(あ...名前聞かなきゃ...)

という僕の思いに被せてるように、

「琥珀。僕の名前は琥珀だよぉ♡」

と言ってきた。さっきから心が読まれている気がする。

「あ、えと...僕は長春隆希です。その琥珀...さんも妖怪なんですよね?何の妖怪なんですか?」
「僕はねぇ“覚”だよぉ♡」
「へぇ...そうなんですか...」
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