第5章 幼馴染の来客
家に向かっていると。
「…詩織っ!」
突然肩に手を置かれ、私の体はビクッとする。
え、誰?…黒マスクに深く被った黒キャップ。明らかに怪しい、今日二度目の服。と、いうことは。
『蓮?』
「蓮:正解。」
『撮影は?早いね。』
「蓮:早いね、って…二時間くらい経ってるけど?撮影は一時間ちょっとで終わったからさ。それで、ここら辺ぶらぶらしてたら、詩織を見つけて。」
『芸能人がぶらぶらするんじゃない。』
「蓮:大丈夫。今まで一回も声かけられてないから。」
『…そう。』
それは本当に大丈夫なの?
「蓮:詩織は?お茶終わったの?」
『うん。』
「蓮:この後の予定は?」
『もう帰ろうと思ってたとこ。』
「蓮:そ?じゃ、一緒に帰ろ。」
『…うん。』
嬉しい。蓮と一緒にいられる時間は、前に比べたら少なくなったから、こんな時間も貴重に思えてくる。
横を歩く蓮の顔を盗み見する。
「蓮:ん?なに?俺の顔に何かついてる?」
『べ、別に?』
びっくりした。見た時に目が合った。というか、蓮、こっち向いてた…?気のせいかな。
「蓮:なんだ。俺に見惚れてたのかと。(笑)」
『そんなわけないでしょ。自意識過剰。』
まあ、正解だけど。そしてこういう軽口叩くのも、好きなとこではあるけど。
「蓮:ねー、詩織〜。クッキー作って。」
『クッキー?』
「蓮:そ。なんか無性に食べたいんだよね。クッキー。詩織お菓子作り得意だからいけるだろ?」
『まあ、材料と時間があれば。』
「蓮:じゃ、決まり。1週間以内にちょうだい。」
『ん、わかった。』
クッキーか〜。…ハートのクッキーに、アイシングしちゃったり。ああでも、失敗して割れた時が悲惨だな。ハートが割れてるってことだもんね。それはやばい。
って、私はなにを考えてるのだろう。そんなの作るわけないじゃない。
『どっ、どんな形がいい?』
「蓮:形ー?なんでもいいけど。なにがあるの?型とか、あるんでしょ?」
『えっと、まる、四角、三角、星、ハート…』
っ、ハートは作らないからね!?
「蓮:じゃあ星で。」
『わ、わかった。』