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脹相と恋愛〜大人〜

第17章 キスをもう一回と言ったら


キスが終わって、唇が離れる。
脹相はいつものように、私の顔をじっと見つめていた。

「……大丈夫か?」

「うん」

 少しだけ恥ずかしくなって、視線を逸らす。

「……ねえ、脹相」

「なんだ?」

「もう一回したい」

「……」

 脹相が瞬きをする。

「今のを?」

「うん」

「……分かった」

 少し照れたように、もう一度唇が重なる。
 短いキス。
 離れたあと、私はまた脹相を見る。

「……もう一回したい」

 脹相の眉が少し上がった。

「二回目か?」

「うん」

 今度は脹相の方から、少し嬉しそうに近づいてくる。

 そして離れた瞬間。

「もう一回したい」

「……三回目だな」

「うん」

 脹相はとうとう小さく笑った。

「今日はずいぶん積極的だな」

「だって……」

「嫌ではない」

「本当?」

「ああ」

 むしろ、と言いかけて飲み込む。

「俺も嬉しい」

 四回目。

 五回目。

 そのたびに私は「もう一回」と言う。

 そして六回目を終えたところで、脹相がとうとう額を押さえた。

「……どうしたの?」

「少し待ってくれ」

「?」

「俺は今、かなり嬉しい」

「ふふ」

「だが同時に……」

 脹相が私を見る。

「七回も同じことを言われたら、どう反応すればいいのか分からなくなる」

「七回目はまだだよ」

「……そうだったな」

 私は少し笑って、脹相の服をつまむ。

「もう一回したい」

「……七回目」

 脹相の顔が一気に赤くなった。

「……」

「脹相?」

「……駄目だ」

「え?」

「その言葉を聞くたびに、嬉しくなってしまう」

 脹相は困ったように笑う。

「お前が自分からキスを求めてくれるのが、こんなに嬉しいとは思わなかった」

「じゃあ、もう一回……」

「待て」

「ふふ」

「今度は俺から言わせてくれ」

「何を?」

 脹相が少しだけ照れながら、私の目を見る。

「……俺も、もう一回したい」

「……!」

 今度は私が固まった。

「どうした?」

「……それはずるい」

「なぜだ?」

「私まで恥ずかしくなるから」

 脹相は少し笑った。

「お互い様だな」

 そして、今度は急がずに私の手を握る。

「……もう一回」

「うん」

 八回目のキスは、二人とも少し笑いながらだった。
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