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脹相と恋愛〜大人〜

第15章 キスした後の顔


ソファに並んで座っていた。

 何をするでもなく、ただ他愛のない話をしているだけ。

 それなのに、ふと目が合った。

「……」

「……」

 どちらからともなく、少しだけ距離が近づく。

 脹相が私の頬に手を添えた。

「……キスしてもいいか?」

「うん」

 返事をすると、脹相がそっと顔を近づける。

 唇が軽く触れた。

 一瞬だけ。

 けれど離れた直後、私は恥ずかしくなって俯いてしまった。

 脹相が私の顔を覗き込む。

「どうした?」

「……なんでもない」

「顔を見せてくれ」

「やだ」

「なぜ?」

「恥ずかしいから……」

 そう言うと、脹相が少し困ったように笑う。

「……余計に見たくなる」

「え?」

 脹相がそっと私の顎に触れて、顔を上げさせる。

 目が合った瞬間。

 今度は脹相が固まった。

「脹相?」

「……」

「どうしたの?」

「いや……」

 脹相が片手で口元を覆う。

「……駄目だ」

「何が?」

「今の顔は、駄目だ」

 耳が赤い。

「どうして?」

「キスした直後のお前が、思っていたよりずっと……」

 言葉に詰まる。

「ずっと?」

「……可愛い」

「……!」

 私まで一気に顔が熱くなる。

「もう見ないで」

「それは無理だ」

「なんで!?」

「見ていたいからだ」

 脹相は真剣だった。

「キスをした後に、そんなふうに恥ずかしそうにするとは思わなかった」

「だって恥ずかしいよ……」

「分かっている」

 脹相は少しだけ笑う。

「だが、俺には嬉しい」

「……」

「お前が俺とのキスを意識してくれているのが分かるから」

 そう言ったあと、脹相はまた私の顔を見つめる。

「……やはり駄目だ」

「何が?」

「見れば見るほど、もう一度したくなる」

「……脹相」

「すまない」

 謝っているのに、全然視線を逸らさない。

「そんな顔で見られると、俺も余裕がなくなる」

「じゃあ見ないで」

「それも無理だ」

「もう……」

 私が両手で顔を隠すと、脹相が小さく笑った。

「隠すな」

「恥ずかしい」

 指の隙間から覗くと、脹相はとても優しい顔をしていた。

「俺は、お前のそういう顔が好きだ」

「……本当に?」

「ああ」

 そして、今度は頬にそっとキスを落とす。
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