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脹相と恋愛〜大人〜

第14章 寝ている脹相にキスしたくなる


その瞬間。

 ――脹相の心臓が、大きく跳ねた。

 もちろん、私は気づいていない。

 けれど脹相は。

(……起きている)

 実は、とっくに目を覚ましていた。

 最初のキスで。

(……今、何をされた?)

 理解した瞬間、頭の中が真っ白になった。

 けれど、起きることができない。

(待て。起きるな)

 起きたら、絶対に目が合う。

 そうなったら、この状況をどうすればいいのか分からない。

 だから必死に寝たふりを続ける。

 そこへ、二度目のキス。

(……っ)

 さらにもう一度。

(……やめろ)

 心の中で叫ぶ。

 もちろん、止めてほしいという意味ではない。

 むしろ逆だった。

(嬉しい……だが、これは……)

 胸の奥が落ち着かない。

 何度もキスされるたび、心臓がうるさくなる。

 〇〇はそんなこととは知らず、またそっと唇を重ねた。

(……無理だ)

 脹相は布団の中で指先をぎゅっと握った。

(これ以上は、寝たふりが持たない)

 けれど目を開けられない。

 起きていると知られたら、きっと〇〇は恥ずかしがる。

 それを想像しただけで、余計に顔が熱くなる。

 それでも。

 また、唇にキスが落ちた。

(……)

 脹相は完全に固まった。

(何故こんなに……)

 嬉しい。

 嬉しいのだ。

 恋人になったばかりの〇〇が、自分から触れたくなってくれたことが。

 それがたまらなく嬉しい。

 けれど、同時に。

(……このままでは、本当に起きてしまう)

 そう思ったところで、〇〇は脹相の胸元へそっと顔を寄せた。

「……好き」

 小さな声。

 脹相の思考が止まる。

(……)

 もう限界だった。

 目を開けたい。

 抱きしめたい。

 ちゃんと「俺も好きだ」と伝えたい。

 けれど。

 〇〇はそのまま眠そうに目を閉じた。

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