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脹相と恋愛〜大人〜

第13章 キスしたのは夢か現実か


「でもね」

「なんだ?」

「もし、されてても嬉しいよ?」

「…………」

 脹相が止まった。

「……何?」

「いや」

「脹相?」

「……今のは」

「うん?」

「俺にはかなり効く」

 耳まで真っ赤になっている。

「だって、恋人なんだから」

「……そうだな」

「脹相からなら、嬉しいよ」

「……」

 脹相は何も言えなくなった。

 しばらく黙ったあと、片手で顔を覆う。

「……朝から俺をどうするつもりだ」

「どうもしないよ」

「……そうか」

 けれど、明らかに嬉しそうだった。

 やがて脹相は手を下ろし、私を見る。

「……では」

「うん?」

「次からは、夢なのか現実なのか迷わないようにする」

「どういうこと?」

「ちゃんと確認してからにする」

「ふふ」

「何だ?」

「脹相らしいなって」

 私は少しだけ彼に近づく。

「でも、もし寝ぼけてしちゃっても……」

「……」

「怒らないよ?」

「…………」

 脹相が再び固まった。

「……それ以上言うな」

「なんで?」

「本当に、朝から心臓がもたない」

 そう言いながら、脹相は私の手をそっと握る。

「……嬉しい」

「うん」

「お前にそう言ってもらえるのは」

 そして、照れたように目を逸らした。

「……夢の中だけじゃなく、現実でも大切にしたい」

「私も」

 その言葉に、脹相はようやく穏やかに笑った。

 けれど結局その日一日、脹相は夢の中で何度もキスをしたことと、私の「されても嬉しい」という言葉を思い出しては、ひとりで赤くなっていた。
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