第12章 初めてのお布団
「……それは」
「うん?」
「今は言わないでおく」
「どうして?」
「言葉にすると、俺自身が意識してしまうからだ」
そう言って、脹相は少し困ったように笑った。
そして再び私を抱き寄せる。
「今日は、このまま眠りたい」
「うん」
「お前が隣にいることを、ゆっくり実感したい」
その言葉が嬉しくて、私は脹相の服をそっと掴んだ。
「じゃあ、もう少しだけこのまま」
「ああ」
抱きしめられたまま目を閉じる。
けれど、すぐには眠れない。
近すぎる体温も、鼓動も、時折髪に触れる指先も。
全部が、付き合う前とは違って感じられた。
「……脹相」
「なんだ?」
「好き」
暗闇の中で、脹相が少しだけ息を呑む。
「……俺もだ」
その声は、いつもより低くて優しかった。
そして最後に、額へもう一度キスを落とす。
「おやすみ」
「おやすみ、脹相」
初めて一緒に眠る夜。
二人の間にある距離は、今までになく近かった。
それでも脹相は急がず、ただ私を抱きしめたまま、静かに夜を過ごした。