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脹相と恋愛〜大人〜

第11章 キスマーク


「……鎖骨の下、か」

「そう!」

「見えない場所ならいい、と」

「うん」

「……分かった」

 脹相が頷く。

 けれど、まだ耳が赤い。

「ただ」

「なに?」

「今後は、もう少し具体的に言ってくれ」

「私だってそんな話するの恥ずかしいんだから!」

「それは……そうだな」

 脹相が苦笑する。

「俺も、まさかそんなふうに言われるとは思わなかった」

「もう忘れて!」

「……無理だ」

「なんで!」

「嬉しかったからだ」

「……」

 また顔が熱くなる。

「お前が俺になら許してもいいと思ってくれたことが、嬉しい」

「……脹相」

「だから、忘れたくはない」

 そう言って、脹相は優しく私の頭を撫でた。

「ただし」

「うん?」

「今日はもう、その話はしない」

「賛成」

「俺もこれ以上は平静でいられそうにない」

「そんなに?」

「ああ」

 脹相は真面目な顔で頷く。

「お前が恥ずかしそうにしているのを見ると、余計に意識してしまう」

「……それ、私も同じ」

「そうか」

 二人で顔を見合わせる。

 そして、どちらからともなく笑った。

「じゃあ、今日は普通に過ごそう」

「ああ」

「キスマークの話は?」

「また今度だ」

「……うん」

 脹相は少しだけ照れたように笑う。

「そのときは、ちゃんと鎖骨の下だと理解しておく」

「もう言わないで!」

「すまない」

 そう言いながらも、脹相は楽しそうだった。

 結局その夜は、二人とも最後まで顔の熱が引かなかった。
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