第9章 友達に恋愛のお守りもらった
けれど、その日の夜。
私は何も知らないまま、袋を机の引き出しへしまおうとする。
「そこに入れるのか?」
「うん。お守りなんでしょ?」
「……」
脹相が複雑そうな顔をする。
「できれば」
「うん?」
「俺に相談してからしまってほしい」
「なんで?」
「……俺にも関係するものだからだ」
「?」
首を傾げる。
脹相はしばらく黙っていた。
そして結局、諦めたように息を吐く。
「……そのうち分かる」
「脹相、さっきから変だよ」
「分かっている」
「顔も赤いし」
「それも分かっている」
「どうしたの?」
「……俺が聞きたい」
そう呟きながら、脹相は私の頭を撫でた。
「とにかく、今はそのままでいい」
「うん」
「ただし」
「何?」
「その袋を、他の誰かに見せるな」
「分かった」
「……特に、俺の前で無邪気に『これ何のお守り?』と聞くのも禁止だ」
「なんで?」
「……心臓に悪い」
そう言って、脹相はまた深いため息をついた。
どうやら私が意味を知らないままなのが、一番困るらしい。
そして私は最後まで気づかない。
脹相がその小さな袋を見るたび、
――「いつ、どう説明すればいいんだ……」
と、一人で途方に暮れていることを。