第8章 私からのキス
その日は、朝からずっと落ち着かなかった。
脹相の顔を見るたびに、無性にキスがしたくなる。
理由なんてない。
ただ、いつも自分にしてくれるように、私からもたくさんしてあげたくなった。
夕方、ソファに座っている脹相を見つけて、私は決心した。
「脹相」
「なんだ?」
「そこ、動かないでね?」
「……?」
不思議そうにしながらも、脹相は言われた通りソファに座ったまま待っている。
私はその前に立ち、まず髪に触れた。
「いつもしてくれるから」
「……何を」
「お返し」
そう言って、頭を撫でる。
脹相が少し目を細めた。
その髪に、ちゅ、と軽くキスをする。
「……」
脹相の目がわずかに見開かれる。
「次」
「……まだあるのか」
「あるよ」
額に手を添える。
そのまま、額へ一度。
もう一度。
脹相が黙り込む。