第6章 初めてのキス
そして今度は、キスよりも先に私を抱きしめる。
「……脹相も緊張してたんだ」
そう言うと、彼は少しだけ眉を寄せた。
「……お前の前では、平静でいられると思うな」
低い声。
その響きに、また胸が高鳴る。
脹相はしばらく私を見つめていたが、やがて頬に手を添えた。
「もう一度、いいか」
「……うん」
返事をした途端、彼の顔がゆっくり近づいてくる。
目を閉じる直前まで、脹相の瞳がこちらを見ているのが分かった。
唇が触れる。
最初は、ほんの軽く。
けれど今度はすぐには離れなかった。
柔らかな感触が重なったまま、時間だけがゆっくり流れていく。
緊張していたはずなのに、不思議と怖くない。
むしろ、離れてしまうことのほうが惜しくなってくる。
脹相の指が頬を撫でる。
そのまま耳の後ろへ滑り、髪をそっと整える。
一度だけ唇が離れた。
ほんの少しだけ。
互いの吐息が触れる距離で、脹相が私を見つめる。
「……苦しくないか?」
「大丈夫」
「そうか」
安心したように目を細める。
けれど、そのまま離れてくれるわけではなかった。