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呪術廻戦〜脹相〜

第25章 脹相〜転ぶのを助けてもらうと〜


   
 しばらくして。

 私はいつものようにソファの前の床へ座った。

「……」

 背中をソファへ預ける。

 その後ろには脹相。

 最近すっかり定位置になった場所だ。

「今日もここか?」

「うん。落ち着くから」

「ああ」

 脹相は返事をしながら、あなたを見る。

 すると。

 さっきのことを思い出してしまう。

 細い腰。

 柔らかな感触。

 咄嗟に腕の中へ引き寄せたときの感覚。

「……」

 脹相はすぐに視線を逸らす。

「脹相?」

「ああ」

「またぼーっとしてる」

「……少し考え事をしていた」

「何考えてたの?」

「言うほどのことではない」

「ふーん」

 私は気にせずテレビを見る。

 脹相は自分の膝に手を置く。

 今日は絶対に不用意に触れないようにしよう。

 そう決めた。

 ところが。

「……」

 私が少し身体を動かした。

 背中が脹相の脚に触れる。

 脹相の肩がわずかに強張る。

「……」

 落ち着け。

 ただいつものことだ。

 それ以上でもない。

 脹相は深呼吸する。

「ねえ」

「ああ」

「今日、やっぱり変じゃない?」

「……そうか?」

「うん。なんか静か」

「気のせいだ」

「そう?」

「ああ」

 私は首を傾げながら、またテレビへ向き直る。

 脹相はその後ろ姿を見つめる。

 そして。

 そっと手を伸ばす。

 頭へ。

 ぽん。

 いつものように撫でる。

「……」

 髪を撫でているだけなのに。

 さっきの感触が頭をよぎる。

 腰の細さ。

 触れたときの柔らかさ。

 思い出すたびに、胸の奥が妙に騒がしくなる。

 それでも。

 脹相は表情を変えない。

「……落ち着く?」

「ああ」

「私が?」

「……そうだな」

「ふふ」

 あなたが笑う。

 脹相はその笑顔を見て、少しだけ安心する。

 さっきは驚いた。

 今まで意識していなかった部分を、急に強く意識してしまったから。

 けれど。

 あなたが無事だったこと。

 転ばずに済んだこと。

 それが一番大事だった。

 だから。

 あの瞬間の感触を、これ以上考えるのはやめよう。

 そう思う。

「……」

 なのに。

 
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