第22章 冬支度
その日の夜。湯浴み後、スヴェトザールが寝室に戻るとベッドの上掛けが膨らんでいるのが見えた。
枕元にはサプフィールの鳶色の髪が広がっている。
もう眠っているようだ。スヴェトザールはなるべく物音を立てないように室内の灯りを消して回り、それからそっと隣に潜った。
カーテンの隙間から漏れる月明かりを頼りにサプフィールの髪を寄せ、体で敷いてしまわない位置に避ける。
「…………」
薄暗闇の中に沈んだ妻の顔に目を向ける。
こちら側に体を横たえて、背中を丸めた状態だ。こちらを向いているのに、逆光で見えない。
頬にかかる髪をそっと払い除け、スヴェトザールも向き合う形で寝た。
サプフィールは最近、寝返りすら打たずに深い呼吸を繰り返していることが多い。やはり疲れが溜まっているのだろう。
会う時間も、夕食の時ばかりになってしまった。
「(……私の両親みたいだ)」
両親は夕食の時間すらもズラしていたが、似たようなものだ。
以前までは、その関係を疎遠とも思わなかった。
「(また寂しく思っていないだろうか……)」
忙しすぎて寂しいと感じる暇すらないかもしれない。その可能性を考えると、それはそれで少し申し訳なくなった。
「……おやすみなさい」
起こさないよう小声でそう声をかけ、スヴェトザールも静かに目を閉じた。