第1章 【黒洲】本物の私
輪廻の輪がおぼろにかすむ前に、私たちはどうにか片づけを終わらせ、公民館を後にしました。
私はあすか様を現世に送り届けるために、2人で霊道を歩いておりました。
「あすか様。先ほどはお見苦しいところをお見せして、申し訳ございませんでした。」
あすか様は立ち止まり、私の視線をまっすぐに貫いて言いました。
「見苦しくなんかない。本物のあなたも大事なんだから。」
自分自身が誰よりもないがしろにしてきた、本物の私。あすか様はいつも、その存在を無視しないでくださいました。嘘も本物も、全てを愛してくださいました。
「ありがとう……ございます……。」
目尻を下げた私の顔は、まぎれもなく本物でした。