第27章 護るということ
ネメニアはすべてを話し終えた。
正面に座るあなたは、目を見開いたまま放心している。
「……こうして私は、お前たちをわざと引き合わせた。これはすべて、私の身勝手な思いから生まれた行いだ。すまなかったな、。そしてルドガー」
彼女はまっすぐに話し、どんな批判も受け入れる表情だった。
あなたは思わず、首をふるふると振る。
だが、その不安げな瞳は、隣にいるルドガーへと向けられた。
「ルドガーっ⋯⋯じゃあ私達は……っ」
彼はどう思ったのか。鼓動が鳴りやまず、体が宙に浮く感覚がした。
ルドガーはそんなあなたの手を、力強く握った。
「⋯⋯そんなのは関係ない! 出会いがどうであっても、お前を好きになったのは俺の心で、俺の気持ちだ!」
あなたはそう言ってもらえた瞬間、ぶわっと感情があふれていった。
「……うんっ! そうだよね!」
泣きそうな顔が、彼の肩にぎゅっとしまわれる。
自分という存在が、丸ごと抱きしめられた瞬間だった。
彼だから愛した。
ここまで二人でやってきた。
紛れもない真実が、ずっと守ってくれている。
あなたはネメニアに振り返る。彼女はただ、静かにその時を見ていた。
「守護者さま……私を、魔界に連れてきてくれたんですね」
「そうだ……勝手にお前の記憶を消した。すまない」
「いいえ……それでよかったんです。今、全部教えてもらったし」
あなたは小さく笑う。
ルドガーを見つめると、自分を思いやるように頷いてくれた。
「俺もちゃんと聞いた。お前がどう生きてきたか。……お前はやっぱり、心の優しい娘だった。今と同じだ」
あなたは瞳が濡れていった。彼にそう認められたことが、安心を広げた。
ずっと怖かった記憶の中の自分。
彼も守護者も、そんな自分がいたことを忘れないと言ってくれた。
だから涙がぐすぐすと出てきた。
不安から解き放たれたように。
あなたが白いハンカチで顔を拭いている姿を、ネメニアも愛情のこもった、せつない瞳で見つめている。