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【Dグレ】Twin Ray -灰の世界に響く歌-

第40章 【第三十五話】インクの檻



なのに。

結局、自分は進んだ。


ティファを残して。


――ほら見ろ。

――お前、結局守れてねぇじゃん。


もう一人のラビが嗤う。

ラビは俯いたまま、鉄槌を握る手に力を込めた。


指先が震える。

止められない。

目の前のティファは、静かにラビを見ている。


責めないまま。
怒らないまま。

その静けさだけが、何より残酷だった。


「ブックマンは“オレ”が継ぐ」

すぐ傍で、もう一人の自分が囁く。


「お前はもう、いらねぇよ……ラビ」

ぐらり、と視界が揺れる。

胸を貫く痛みよりも、身体の奥から力が抜けていく感覚の方が強かった。


膝が崩れる。
水面へ赤が落ちる。

ティファを抱き留めようとした指先は、もう上手く動かない。


「私、信じてたのに」


その声が、何度も頭の奥で反響する。


責めるでもなく。
泣くでもなく。

ただ静かに、自分を見ている。


それが一番きつかった。


ラビは知っている。

ティファは、こんなふうに相手を縛る人間じゃない。


不安でも、怖くても。

最後には笑って背中を押す。
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